医療費の不安を解消するライフプランを考えよう

  • ・一般的な家計を改善させる方法は①収入を増やす②支出を減らす―の二つ
  • ・病気を患った場合のライフプランでは、治療で症状をコントロールしながら、できるだけ長く働き続けて、安定的な収入を得る
  • ・罹患後の家計の見直しについては、FPなどの専門家に相談するなどして、将来の不安を解消する

治療で症状をコントロールしながら、できるだけ長く働き続けましょう

はじめに、一般的な家計を改善させる方法は、「収入を増やす」ことと「支出を減らす」ことの二つです。実は、このほかにもう一つ、お金にも働いてもらう「運用する」という方法があるのですが、資産運用も収入を増やす手段の一つ。ですから、要は、収入を増やすか、支出を減らすか、しか方法はない、ということです。

一般的な家計を改善させる方法

一般的な家計を改善させる方法

しかし、病気を患った場合では、休職などに伴う収入の減少がライフプランに与える影響は大きいといわれています。慢性疾患の場合、医療費の支払いは継続します。大変だと思いますが、治療で症状をコントロールしながら、できるだけ長く働き続けて安定的な収入を得ることがポイントとなります。

働くこと以外では、ご紹介してきた高額療養費制度などの公的制度やサービスを利用することです。

ただ収入を増やすには限界がありますし、それだけでは家計は改善しません。支出を減らす方策を考えてほしいと思います。

結論から言うと、支出を見直すポイントは減った収入に合わせて柔軟にスリム化する、ということです。支出は大きく固定費と変動費の二つに分けられます。固定費としては、住宅ローン、教育費、民間の生命保険料などがあります。変動費は、食費、水道料、光熱費、通信費などです。固定費は、見直しにくいですが、削減効果は高いといわれています。一方の変動費は、見直しをするのは比較的簡単ですが、削減効果は、それほどでもありません。ですので、病気をきっかけに医療費が増えた場合には、固定費の住宅ローンや教育費、保険などの見直しをするのもよいでしょう。

自身の医療費負担がどれくらいになるのかについては、まず主治医に確認をとりましょう。主治医に聞きづらい場合は、病院の医事課窓口に相談してください。関節リウマチなどの慢性疾患は、治療で症状がコントロールされていれば、治療2年目頃には毎月の治療費の目安がわかってくると思います。

また治療中の方は保険会社から保険の新規加入については断られる場合もあります。加入できたとしても保険料が割高な可能性は高いので、自家保険として預貯金などで「医療貯蓄」を検討してみましょう。目安は、生活費の半年分から1年分くらいが理想です。

年代にもよりますが、通常、ライフプラン表やキャッシュフロー表は今後20年、30年の予定を書き込んで、将来のイメージを具体化していくのが一般的です。しかし罹患後は適宜の見直しがしやすいように、まずは1~2年後、治療が落ち着いてきたら5年ぐらいの短中期で計画を立て、こまめに見直しするようにしましょう。

一般的な家計を改善させる方法

関節リウマチ患者さんがライフプランを立てる際の注意点としては、患者さんが女性の場合、家庭で家事・育児・介護を担っている割合が高く、病気をきっかけに、家事労働の担い手のサポートが必要となるため、アウトソーシングのためのコストがかかることもあります。

また患者さんが40代の場合には、子供の教育費と住宅ローンを抱えているケースも多いと思います。住宅ローンは家計において最も大きい支出ですので、住宅ローンの毎月の返済額の見直しについても考えてみましょう。住宅ローンを組んでいる銀行で相談してください。

慢性疾患は病気とうまく付き合ってQOLを維持していくことが必要です。経済的に医療費負担を抱えて大変だと思いますが、適宜柔軟に家計を見直していくとよいでしょう。その上で、都度、しかるべきところに相談に行くことが肝心です。

医療現場で患者さんの抱える経済的な問題解決の援助を行う医療ソーシャルワーカーは、社会保障制度などには詳しいです。また関節リウマチ罹患後の家計の見直しについては、専門家であるFPに相談するなどして、将来の不安を解消していただきたいと思います。

相談・問合せ先
日本FP協会(https://www.jafp.or.jp/

黒田 尚子 先生
黒田 尚子 先生
ファイナンシャル・プランナー(FP)
98年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。乳がん体験者コーディネーター。
黒田尚子FPオフィス公式HP:www.naoko-kuroda.com