統合失調症

【CASE6】「悪口を言われた」と事実ではないことを言う場合

監修:池淵 恵美先生(学校法人帝京大学 帝京大学医学部 精神神経科学 客員教授)

【CASE6】「悪口を言われた」と事実ではないことを言う場合

明らかに本人の妄想かと思うのですが、「悪口を言われた」「嫌がらせされた」などと事実ではないことを言ってきて困っています。どう対応したらよいでしょうか?

解説

事実とは違っても幻聴や妄想は本人の気持ちや思いを反映していることがあるので、否定せずに、本人の思いを受け止めてあげてください

幻聴や妄想は、患者さん本人の脳が周りと反応しつつ生じるので、本人の気持ちや思いを反映していることがあり、そのことを自分の思いや感情だとは認識できないところに統合失調症の患者さんの辛さがあります。(現実が本人にとって不本意なものであるほど、幻聴や妄想がふくらむものかもしれません)。基本的に幻聴や妄想への対応は医療スタッフなど専門家の役目ではありますが、ご家族の方も「本人の思いを受け止める」「話をよく聞いてみる(興味をもつと、案外本人も冷静に眺められるようになります)」「そういうことがいつも起こるとつらいよね、と共感する」ことはできると思いますので、ぜひ実践してみてください。