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医師とのコミュニケーションについて

2022/08/26Knowledge

タイトル
医師とのコミュニケーションについて
検証状況
Work In Progress
URL 名
RA-doctor3-4
概要
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内容
  • 症状の変化だけでなく、治療への不安や疑問、悩みも率直に医師に伝えましょう
  • 話したいことがたくさんあるときは、何回かに分けて質問を
  • 中には内気な性格の医師も。勇気を持って自分から話しかけてみましょう

良い状態を維持し続けるためにも、治療の継続を

専門医として、多くの関節リウマチ患者さんを診察してきましたが、ときどき患者さんから「私は寛解に達していますか?」と聞かれることがあります。おそらく自分なりに病気について勉強されて、「寛解を達成することが関節リウマチの治療目標だ」とインプットしておられるのだと思います。もちろん、それは間違いではありません。ですが、寛解の基準や病気の勢い(疾患活動性)を評価する基準は、臨床研究などにおける集団の中での効果を判断するための「物差し」であって、個々の患者さんの治療目標とは一致しない場合もあります。
私が考える関節リウマチの治療ゴールは患者さんが発症前の生活をすべて取り戻すこと、関節リウマチを考えなくてもいい生活を取り戻すことです。寛解を達成しているかどうかと質問されたときは、この目標をお伝えした上で「痛みなどの症状がなくなって、以前と同じ生活ができていますよね。それに加えて、レントゲン画像や疾患活動性評価などでも良い状態を保っているので、今の状態を2文字で表すとしたら“寛解”と言えるかもしれません。安心していいですよ」とお話ししています。
ただし、寛解と言える状態になったからといって、治療が終わるわけではありません。関節リウマチは免疫の異常によって起こる病気ですが、根本的な発症原因はまだ明らかになっておらず、治療を止めると症状がぶり返す可能性があります。症状が落ち着いていても定期的に通院して治療を継続し、良い状態を維持することが大切です。

どんなに小さなことでも、医師に伝えることが大切

治療を継続する上で、リウマチ専門医として患者さんにお願いしたいのは、ささいに思えることでも、気になることは必ず主治医に話してほしいということです。診察や検査をすれば、患者さんの関節の状態をある程度把握することはできますが、医師の見立てと患者さんの感覚が、必ずしも一致するとは限りません。特に「痛み」は主観的な症状なので、「この程度の腫れならそう痛くはないだろう」と医師が思っても、ご本人にとっては「ものすごく痛い」ということもあり得ます。
よく眠れない、何となくだるい、気持ちがふさぐなど、一見、関節リウマチとは関係がなさそうな症状についても、医師に伝えてください。患者さんが「病気とは関係ない」「ささいなこと」と思っていた症状が、治療を進める上で重要なポイントになることもあります。関節リウマチと関連しているかどうかを評価することが、医師の仕事です。少しでも気になる症状や体調の変化があれば、きちんと医師に伝えましょう。

もう一つ、医師に伝えていただきたいのは、患者さんの「気持ち」です。先ほどもお話した通り、寛解の基準は数値で決まっていて、医師はその数値をもとに治療の効果を判断しています。しかし、患者さんの気持ちは数値で測ることはできません。複数の処方薬を継続して寛解の基準をクリアできていれば、医師は「問題ない」と考えるでしょう。一方で、患者さんが「長期間、薬の服用を続けて副作用は起きないのか」などと不安を感じているとしたら、自分らしくいきいきと、日常生活を送ることはできないと思います。症状だけでなく、治療に関する不安や疑問、悩みも率直に医師に相談してみてください。

自分の症状や気持ちを上手に医師に伝えるには?

自分の症状や気持ちをうまく伝えるためには、普段から医師とコミュニケーションを取り、何でも気兼ねなく話せる関係性を築いておくことが大切です。「こんなこと、先生に聞いてもいいのかな」と迷ったときは、「病気のことをもっと知りたいから教えてほしい」という思いを言葉にしてみましょう。
医師に話したいことがたくさんある場合は、一度の外来ですべて解決しようとせず、何回かに分けて質問するとよいと思います。私も外来で一人の患者さんからたくさんの質問を受けることがありますが、次の患者さんが待っているなど時間が取れない場合は、「次回の診察でゆっくりお聞きしますね」とお伝えしたり、比較的ゆとりのある曜日に受診するよう提案したりしています。患者さんのほうから「相談したいことがあるので、時間を取ってほしいのですが」と伝えれば、医師も都合をつけてくれるのではないでしょうか。
医師に話しづらい場合には、看護師や薬剤師、作業療法士、理学療法士など、医師以外の医療スタッフに話してみましょう。うまく医師につないでくれると思います。

患者さんからすれば「先生は忙しそうで話しかけづらい」、「こんなことを話したら怒られそう」と思うかもしれません。ですが、自分の症状や悩みについて自分の言葉できちんと伝えることは、治療を継続する上で最も大事なことだと思います。
医師も一人の人間です。中には内気な性格で、患者さんとどう話せばいいのかわからないタイプの医師もいると思います。多くの医師は患者さんのことを知りたいと思っていて、患者さんとの会話から治療のヒントを見つけようとしています。勇気を出して、ぜひ自分から医師に話しかけてみてください。そこから良いコミュニケーションが生まれると思います。

宮本 俊明 先生

宮本 俊明 先生

社会福祉法人 聖隷福祉事業団 総合病院聖隷浜松病院
リウマチセンター長 膠原病リウマチ内科部長
1998年浜松医科大学卒業後、同大学附属病院に勤務。1999年、聖隷浜松病院に着任。2008年より現職。日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本リウマチ財団登録医、日本リウマチ学会専門医・指導医。