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多くの手を借りて乗り切る 育児中の関節保護動作

2023/02/15?Knowledge

タイトル
多くの手を借りて乗り切る 育児中の関節保護動作
検証状況
Work In Progress
URL 名
RA-doctor2-3
概要
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内容

育児に家族や第三者を巻き込む

関節リウマチは、本来なら体を守る免疫の働きに異常が起こることで、自らの体を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです1)
妊娠中は、おなかの赤ちゃんを守り育てるために、免疫の力が抑えられていますが、産後は、生まれた赤ちゃんを育てなければならないお母さんを病気から守るため、免疫力が一気に高まります。妊娠以前に発症し、妊娠中は落ち着いていた関節リウマチの症状が産後に再燃(悪化)することが少なくありません。リウマチでなかった女性が出産をきっかけにリウマチを発症することもあります。

産後1~3ヵ月ぐらいで再燃してしまうことも多いのですが2)、この時期は、赤ちゃんはまだ首が据わらず抱っこも大変で、頻繁な授乳があり、育児がとても大変な時期です。育児が大変なときに、リウマチの痛みが重なると、とてもつらいと思います。
ただ、子どもは必ず大きくなります。大変な育児も、子どもが3歳ごろになるとだいぶラクになるはずです。大変な時期を乗り切るには、一人で子育てを全て背負うことのないよう、家族や第三者も巻き込んで、力を合わせていくことが必要です。育児には、周囲の協力が不可欠です。パートナー、両親、兄弟姉妹など、できるだけ多くの人にサポートしてもらいましょう。

人の力を借りることは恥ずかしいことではありません。大変に感じるとついついリウマチだから…と思ってしまうこともありますが、リウマチだから大変と思うより、「育児で大変なことは誰にでもある」と考えてください。

抱っこや授乳は育児グッズが活躍

頻繁に繰り返される抱っこや授乳は、関節への負担が大きい動作です。できるだけ、家族に交替で手伝ってもらいましょう。また、ベビーラックやバウンサー、抱っこベルトなどの育児グッズを活用できると負担軽減につながります。

ベビーラック バウンサー 抱っこベルト

痛みが強いときには座って太ももの上に乗せるように抱いたり、少し大きくなったら並んで座ってハグしたりと、スキンシップや愛情を伝える方法はいろいろあります。
「たかいたかい」などのダイナミックな遊びは家族にお願いするなど、周囲のサポートもめいっぱい受けましょう。
家族のサポートを受けることが難しい場合には、自治体による産後ケアサービス、産褥シッターやヘルパー、家事サポート、一時預かり保育などを利用する方法もあります。

もう一つ、育児中のリウマチ患者さんに必要なことは、忙しくても、リウマチの治療はきちんと続けることです。育児中は、休む間もなく動き回ったり、頻繁に抱っこしたりすることで、腕や肩、腰など、いろいろなところに負担がかかりますが、育児の負担によるもの(腱鞘炎や肩こりなど)であれば、やがてはおさまります。しかしその痛みが、育児に伴うもの(腱鞘炎や肩こりなど)か、リウマチによるものかをきちんと見分けることが大切なため、痛みが起こった場合は早めに主治医に相談しましょう。また、授乳中の薬剤使用については主治医に相談しましょう。

1)三浦靖史ほか編. リウマチケア入門. メディカ出版. 2017

2)「関節リウマチ(RA)や炎症性腸疾患(IBD)罹患女性患者の妊娠、出産を考えた治療指針の作成」研究班. 全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、若年性特発性関節炎(JIA)や炎症性腸疾患(IBD)罹患女性患者の妊娠、出産を考えた治療指針. 2018

三浦 靖史 先生

三浦 靖史 先生

神戸大学大学院保健学研究科 リハビリテーション科学領域 准教授
神戸大学医学部附属病院 リハビリテーション部 副部長
(2022年10月現在)