家事の時短テクや省力化が関節保護のサポートに
近年では家電が進化し、家事をラクにしてくれる便利な商品がたくさんあります。関節への負担を減らすために、活用できるものはどんどん使いましょう。
リウマチ患者さんの中には、「便利なものを使うと手抜き」「家族のために食事を手作りしたい」「料理・洗濯・掃除といった家事を、全て自分で行わなければならない」などと考えている方もいらっしゃいますが、体のよい状態を長く維持するために、関節に負担がかかる動作を減らすよう取り組む必要があります。
仕事と家事で忙しい共働き家庭では、少しでも家事の負担を減らそうと、時短テクや省力化を図っています。これが、リウマチ患者さんにとっては関節保護の実践につながると思います。誰もがしている「ラク」を取り入れてみましょう。
またモノだけでなく、人の力を借りることも大切です。きれい好きで掃除が趣味という方は、人にしてもらっても拭き残しが気になったり、満足できなかったりすることもあるかもしれません。きれい好きはとてもすばらしいことですが、こだわりすぎると掃除が大変になってしまうので、多少は大目に見ることも必要です。固定観念を捨てた発想の転換で、「部屋がピカピカになること以上に、自分の体を助けるために家事をシェアしてくれる人がいることはすばらしいこと」とポジティブに考えることで、体もラクになり、心もハッピーになれるのではないでしょうか。
モノと人の力をどんどん借りよう
家事をする上で、関節への負担を減らす工夫は多くあります。「ラク=悪いこと」ではありません。調理・掃除・洗濯という家事のシーンごとに、モノと人の力を借りた関節保護動作のポイントをご紹介します。
【調理】
・包丁で硬いものを切ったり、片手で重いフライパンや鍋をもったりするのは大変です。カット野菜や水煮などの半調理品が多く市販されているので、そのような食材を使うことで切る手間が省けます。
・作業は座ってする、鍋は片手ではなく両手でもつと調理がラクになります。
・ふきん絞りは手首への負担が大きいので、ペーパータオルやウェットティッシュをふきんの代わりに使用しましょう。
【掃除】
・ロボット掃除機やコンパクトで軽い掃除機、フローリングならモップタイプのフローリングワイパーなどで省力化して、できるだけ関節に負担をかけないようにしましょう。
・ぞうきんがけは、しぼる動作も、床に手やひざをついて拭く動作も、関節への負担が大きい動作です。立ったまま拭けるウェットタイプのフローリングワイパーを使う、あるいは家族に頼みましょう。
・エアコンや換気扇、レンジの掃除などは家族に頼む、専門業者に依頼すると安心です。
【洗濯】
・乾燥機能が付いている全自動洗濯機で乾燥までできると干す手間から解放されます。
・干す作業が必要な場合には、腕を上げずに済むように物干しを低い位置にすると負担が少なく、弱い力で挟める洗濯バサミなど、便利グッズを活用することもおすすめです。
リウマチ患者さんの動作や作業を手助けするための自助具もありますが、例えばペットボトルや瓶のふたを開けるオープナーなど、100円ショップやホームセンターなどで手軽に入手できる便利グッズも多くあります。関節への負担を減らすための便利グッズも積極的に取り入れましょう。
三浦 靖史 先生
神戸大学大学院保健学研究科 リハビリテーション科学領域 准教授神戸大学医学部附属病院 リハビリテーション部 副部長