関節リウマチWebセミナー

自分らしい生活を送るための
病気との付き合い方とは?

2021年6月 オンライン開催
ヤンセンファーマ株式会社・株式会社QLife 共催
日本リウマチ友の会 後援

石井 智徳先生(東北大学病院臨床研究推進センター 特任教授(リウマチ膠原病内科))
永井 薫氏(ナゴヤガーデンクリニック Chief Operating Nurse)
長谷川 三枝子氏(公益社団法人日本リウマチ友の会 会長)

治療の選択肢が増え、患者さん自身が医療従事者と共に治療方針を決めることで、関節リウマチを抱えていても、やりたいことを叶えられる時代になってきています。2021年6月26日(土)に、ヤンセンファーマ株式会社と株式会社QLifeの共催で、公益社団法人 日本リウマチ友の会後援のもと、関節リウマチのWebセミナーを開催いたしました。本セミナーでは、関節リウマチとの付き合い方や医療従事者への相談の仕方などについて、医師、看護師、患者会代表の立場からお話をいただきました。

講演
「より自分らしい関節リウマチとの付き合い方」

関節リウマチの主な症状は、朝に指がこわばって動かしにくい、関節が腫れて痛い、関節の形が変わるなどです。関節だけでなく、体のだるさや発熱、息切れといった全身性の炎症が起こることもあります。なかには、「顎関節症かもしれない」と顎の痛みを訴える患者さんもいます。この場合、関節リウマチに伴う顎の関節の炎症という可能性があるので、主治医の先生に相談した方がいいでしょう。

関節リウマチが進行すると、関節が壊れていきます。関節の破壊は、発症してから2年間以内に進むことが多いため¹⁾最初のうちにいかに抑えるかが、長期的に関節が壊れてしまわないようにするために重要です。

現在の治療目標は、寛解(治療しながらも症状がない状況)です。寛解にも、①臨床的寛解(症状がない)、②構造的寛解(関節が壊れない)、③機能的寛解(日常生活を通常通り送れる)の3つの段階があります。将来的には、関節が壊れるのを止めるだけではなく、壊れている関節を改善できるようになることが期待されます。

3つの寛解

治療の選択肢が増え、患者さん自身が医療従事者と共に治療方針を決めることで、関節リウマチを抱えていても、やりたいことを叶えられる時代になってきています。2021年6月26日(土)に、ヤンセンファーマ株式会社と株式会社QLifeの共催で、公益社団法人 日本リウマチ友の会後援のもと、関節リウマチのWebセミナーを開催いたしました。本セミナーでは、関節リウマチとの付き合い方や医療従事者への相談の仕方などについて、医師、看護師、患者会代表の立場からお話をいただきました。

関節リウマチの症状は多様で、手の指が痛い人もいれば、膝が痛い人もいます。患者さんの社会的な状況もさまざまです。治療において寛解を目指すことは大切ですが、人によって改善したい症状と副作用のバランスや治療費の許容範囲は異なります。

患者さんと医師が相談しながら治療内容を決めていくことをshared decision making(SDM:共同意思決定)といい、最近はこの考え方が広まってきています(詳しくはこちら)。治療内容の決定に関わることを望まない患者さんもいますが、患者さんの希望や状況に合わせた治療を行うために、医療従事者のみでは治療内容を決められない場合が多くあります。

患者さんにはいろいろな心配事があることでしょう。主治医や看護師、薬剤師などの医療従事者とよく相談してみてください。

患者さんが抱える心配事の例

パネルディスカッション
「関節リウマチと向き合うあなたへのアドバイス ~より自分らしい生活を目指して~

石井 智徳先生(東北大学病院臨床研究推進センター 特任教授(リウマチ膠原病内科))
永井 薫氏(ナゴヤガーデンクリニック Chief Operating Nurse)
長谷川 三枝子氏(公益社団法人日本リウマチ友の会 会長)

石井先生
基本的には多かれ少なかれ、一生続くと考えなければいけません。
継続して治療するのが一般的です。

石井先生
関節リウマチの治療では、Treat to Targetというガイドライン2)があり、目標を達成するための治療方法についても言及されています。具体的には、臨床的寛解を目指して3か月を目処に治療方針を検討し、目標を達成しなかったら治療を変えるべきであるとされています。

永井さん
関節リウマチになる前にどんな生活を送っていたかを振り返るといいと思います。
旅行したい、資格を取りたいなど具体的な目標があれば主治医などの医療従事者に伝えてみてください。

長谷川さん
Treat to Targetの概念や治療目標に関する患者側の理解はまだ十分とはいえず、実際の診療の場面で医師と患者が治療目標を決めるケースはまだ少ないと感じています。

2)Smolen JS, et al. Ann Rheum Dis. 2010;69:631-637.

永井さん
きちんと薬を飲むことや質の良い十分な睡眠、バランスの取れた食事が重要です。
筋力の低下や関節の痛みなどによって転びやすいので、家の中でも転ばない工夫や配慮をするといいと思います。

長谷川さん
日常生活への影響としては不自由になったという訴えが多いですが、発症の初期と、ある程度病気を受け入れ、向き合えるようになったときとでは、日常生活への対応の仕方が違ってくると思います。
自分なりに病気を理解して、今の段階でこれは可能かという判断ができるようになると、家族が理解・協力してくれる環境ができてきます。

石井先生
関節が壊れないように日常生活を送ることが大事なポイントですが、患者さんの疾患の活動性によって大きく変わることがあります。炎症が強くて腫れているときは、「あまり動かさないように」と言われるでしょうし、逆にある程度落ち着いていると、ある程度動かさなければいけません。
自分の今の状況を主治医や看護師など医療従事者と相談するのがいいと思います。

永井さん
痛みやしびれ、だるさは主観的症状といい、患者さんも伝えづらく、医療従事者としてもわかりづらい項目です。
手帳や、症状を記録するスマートフォンのアプリなどで継続的に体調を管理して、主治医や看護師に報告していただくと非常に助かります。
筋力の低下や関節の痛みなどによって転びやすいので、家の中でも転ばない工夫や配慮をするといいと思います。

長谷川さん
痛みの残っている部分がどういう状態なのか知りたいという患者は多くいます。
患者の痛みや目に見えない部分を読み取る手段が出てきているというのは、患者にとって期待できることかなと思っています。

石井先生
主治医として反省しなければいけない部分もあるとは思いますが、客観的なデータでないと判断しにくいのも事実です。
関節の炎症がなくても痛みが出る場合もあり、患者さんが話してくれて初めて医師が分かることがあります。
医師にうまく伝えられないのであれば、ほかの医療従事者で伝えられる人をつくるといいと思います。

永井さん
医療従事者は病院に来たときの様子しかわからないので、どんなことがあったかポイントを押さえて教えてほしいです。
関係ないと思っていても病気と関係していることもあります。
どこまで主治医に言うべきか悩む場合は、看護師に話していただければアドバイスができるので、ぜひ頼ってください。

長谷川さん
医師が忙しいからと遠慮して聞けずにストレスをためると、症状も改善しないなど悪循環に陥ります。
最も聞きたいことをメモして、自分の思いを伝えるのが大事です。

石井先生
病気に関係ないと思われがちですが、デスクワークから立ち仕事に変わったなど仕事の質がまったく変わってしまったといったことも治療する上で大事な場合があるので、教えていただきたいです。
妊娠や出産、将来的にどうしたいか、自分のライフサイクルにおいてどんなことをしたいのかもある程度教えてもらった方が治療しやすいことがあります。

長谷川さん
本人が痛くて重いものが持てない、包丁も持てないと言っても、「どうして?」と思うのが家族を含めた第三者です。
市民公開講座などへ一緒に参加する家族は少ないです。患者会に入ることすら家族に隠している会員もいます。
治療費が高額となり家族から嫌な目で見られている、離婚したというケースもあるくらい理解されにくいです。 

永井さん
このような市民公開講座も家族で聞くといいと思います。
患者さんの個人の状況を知ることも重要なので、時には一緒に医療機関に行き、医師の話を聞くのもいいと思います。
家族であっても言葉にしないとなかなか思いは伝わらないので、関節リウマチについて話し合う場を設けていただきたいです。
最も聞きたいことをメモして、自分の思いを伝えるのが大事です。

石井先生
家族に気を遣って、治療費を気にされている患者さんで、家族にはその状況が伝わっていないことが結構あります。
「ご主人も一緒に来てお話を聞いてもらいたい」とよく話すのですが、病院に来てもらうことすら申し訳ないのだと言われます。
患者さんの調子が良くなると、治療費の負担が軽くなることもあります。
1度連れてきていただいて、医療従事者が話をすることで、その後の状況が変わることはあると思っています。

永井さん
特に妊娠を考えている女性の方は、パートナーを連れてきていただくのは非常に重要なことだと思います。

永井さん
まずひとつは、カット野菜がお勧めです。簡単ですし、痛いときは市販品に頼っていいと思います。
また、布巾を蛇口に掛けて、それを数回ねじってから横に開くと、手首をひねらなくても雑巾が絞れます。
そのような裏技を覚えておくといいかもしれません。
料理に関しては、Webサイト「トモノワ」で関節リウマチの患者さんでも簡単にできるレシピを紹介しています。

長谷川さん
軽いお皿やカップもあります。包丁は上から押して使えるものがあります。
友の会では関節リウマチの患者が使用できるものをまとめた「生活便利帳―自助具編」を発行しています。
専門家の指導の下、難しい動作は代用方法を見つけて、今まで通りに近い生活を維持していくこともできます。

石井先生
どうしてもできなくなってしまうこともあります。
全部一人で抱え込んで、自分がやらなければいけないと思うと、すごくストレスがたまります。
家庭の状況もありますが、家族に頼むのもコミュニケーションのひとつとしていいのではないでしょうか。

永井さん
まず治療目標を具体的に持つことが重要です。やりたいことを叶えられる時代になっているので、主治医と話し合ってください。
また、情報があふれていますが、誰がどんな立場で出しているのかを認識して、正しい情報を入手してほしいです。

長谷川さん
早期診断・早期治療を受け、自分の病気を理解しながら力を発揮できる時代です。
職場でも病気をオープンにしながら、自分のできる範囲で力を発揮し続けられるのではないでしょうか。

石井先生
どのように病気と付き合っていきたいかというイメージを医師と共有していただきたいです。
さまざまな医療従事者と一緒に付き合い方を考えていくのが今後の関節リウマチ治療だと考えています。

Q&Aセッション

長谷川さん
友の会で相談を受けるときは、しっかりとガイドラインもできている日本リウマチ学会の専門医がいる医療機関を提示して、通院しやすいところを選んでいただいています。

永井さん
名古屋大学医学部附属病院では膠原病内科がないので、整形外科で診ています。
整形外科でも内科でも大丈夫です。必要なところは連携して診療を行っていると思います。

石井先生
リウマチ専門の医療機関は横のつながりがあります。私は内科ですが、整形外科の医師でなければできないことは近くの医療機関にお願いすることもあります。
通いやすいという点も重要です。土日も診療しているクリニックもあります。
あまり医療機関選びにこだわるより、まずは身近な専門医に相談されるのがいいと思います。

長谷川さん
「病状が良くなったのだが、この薬をずっと飲んでいていいのか」と質問を受けたときは、主治医に聞くよう返答しています。
「安定した状態でも薬を続ける理由を主治医に説明してほしい」という相談も多いです。

永井さん
主治医の先生に相談しにくいことはあると思います。例えば、調子が良くなったので実は全然薬を飲んでいないという人もいます。
しかし、主治医は処方していたら何の疑いもなく飲んでいると思っているので、勇気を出して「実は飲めていない」と報告していただきたいです。

石井先生
薬の減量は可能な人も一定数いるので、主治医に相談するといいと思います。
自己判断でやめてしまうと医師は患者さんの状態を薬を飲んでいるのに悪化しているなどと誤解してしまうので、お勧めできません。

長谷川さん
関節リウマチはハローワークにおいて難病患者の枠で就労支援の対象になっています。就職を希望する患者は増えてきました。
ただ、ハローワークでは病気を理解した上での対応が少ないという感想も聞きます。
就労支援を受けることは、まだまだ厳しいのが実情のようです。
今まで働いていたが仕事を続けられなくなったというケースでは、障害年金を受給する方法もあります。

永井さん
主収入面でのサポートについては、入っている保険やご自身の収入などにもよるので、病院の医療相談室に相談するといいと思います。
またケースワーカーや薬剤師さん、看護師さんと話してみるとヒントが得られるかもしれません。

石井先生
関節が壊れない限り、5割ぐらいは寛解してほとんど普通の人と同じように暮らせる可能性が出てきています4)
就職などに挑戦するには、しっかり治療をして関節リウマチを良くするのが優先だと思います。
また関節リウマチの場合は40歳から介護認定が取れます。
障害年金の診断書を書ける整形外科医やリウマチの専門医は多いので相談してみてください。

4)Yamanaka H, et al. Mod Rheumatol. 2013;23(1):1-7.

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